今から20年以上前、宮崎県へ長期の出張で滞在していた時のことです。
どうも頭の左半分に鈍痛を覚えたので、近くの医院を訪ねました。その病院は、昔のドラマに出て来そうな、赤ひげ診療所のような簡素な古くさい建物でした。受付は、優しく気の良さそうな、たぶんここの医師の奥さんなのでしょう。初老の品の良い女性でした。
しかし、あまりにも古ぼけた建物でしたので「大丈夫かな?」と少しの不安を抱えつつ診察室へ入りました。これまた医師も、常にニコニコしっぱなしの気の良さそうなハゲじじいで、医師のイメージとはかけ離れたようなおじいさんでした。
私の心の中の声は「こりゃダメだ、やめた方がいいぞ。」と呟きはじめていました。そんな私の心の呟きなど意に介さず相変わらずニコニコしながら「どうしたの?」という問診に、私「偏頭痛がするんです。」すると、ニコニコハゲじじいはすかさず「じゃあ、偏頭痛の薬を出しましょう。」
偏頭痛の薬??
今度の私の心の声は「偏頭痛の薬?そんなのあるかぁ!ボケ!」っと叫んでいました。しかし、診察して薬まで出してもらったので、飲んでみることにしました。
すると・・・
1〜2時間くらい経った頃、なんと偏頭痛はすっかり治っているではありませんか。そして、その後再発することもありませんでした。私はめいいっぱい疑っていたので、プラシーボ効果ではないことは確かです。
あの病院の古くさい建物といい、品の良い受付の奥さんといい、ニコニコ顔のハゲじじい(ごめんなさい!とっても良い医師でした)といい、桃源郷へ一歩踏み込んだような、なんとも不思議な南国宮崎での出来事でした。
写真は、日南海岸「青島」です。