嗚呼九月一日

関東大震災

「嗚呼九月一日」は、関東大震災の慰霊碑に書かれた言葉の一つである。関東地震は、大正12年(1923)9月1日11時58分に発生した。火災による被害は広く一般に知られているが、横浜、横須賀、鎌倉などの、市街地に迫った丘陵斜面の崩れによる被害も多く、丹沢山地周辺では大規模な山崩れや土石流による被害も多数発生したことを知る人は少ない。

とても有名な地震災害であり、各分野の多くの専門家が調査研究されて来た。私は、他の研究者があまり扱ってこなかった被害事例や避難行動などを、これからも研究して行こうと考えている。

大洞山

上の写真は、神奈川県小田原市根府川の大洞山である。写真中央の少し窪んだ斜面が大崩壊し、その崩壊土砂による土石流と地すべりで、埋没家屋70余戸、300人近い死者が発生した。大洞山を起源とする土石流は、地震発生から約5分後に根府川の集落へ到達したと言われている。しかしながら、5分という時間があったにもかかわらず、この様に多数の人命が犠牲になってしまった。

横浜市磯子では、当時存在した偕楽園付近の斜面が幅110間(約200m)にわたって崩れ、25人が犠牲になった。横須賀市浦賀では、愛宕山が大きく崩れ、麓の人家74戸が埋没し100人余りが犠牲になった(大正大震火災誌ほか)。

また、この災害では、東京に隣接する埼玉県が、多くの避難者を受け入れてくれたことも忘れてはならない。

この記事を書いた人

たかまさ

たかまさ

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